『マネログ』 ポジティブな書評

本が読みたくなるブログを目指して

「現実」がこれほどエンターテイメントだったとは『革命のファンファーレ』

 

こんにちは、まねです。

今日はキングコング西野亮廣さんの『革命のファンファーレ』を紹介します。

ビジネス本の類を紹介するのは初めてですね。

 

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『魔法のコンパス』も面白かったのですが、今作はより要点を具体的に

掘り下げていったという印象です。

随所に前例とデータを織り交ぜて、より実践的に使える内容になっています。

 

独特な雰囲気を主に紹介していきます。

 

文章の持つ牽引力が凄まじい

この作品は啓発本というくくりに該当するのでしょうが、

僕の過去に読んできた啓発本とは明らかに別種でした。

もちろん西野亮廣さんのタレント性も理由の一つでしょうが、

それ以上に、堅苦しくない読ませる文章力がすごい。

 

恐ろしいほどグイグイ読ませる文章。

こちらが「目を動かして読みにいく」というよりは

「文字に黒目を引っ張られる」というような感じ。

ただただ、ワクワクして読める。

文章の美しさとか、口調の統一だとか、小説ほどには重きを置いて

いないだろうから、文字の本来持つ勢いに飲み込まれるような感覚を

味わえる。

他にも、文字の配置からページの使い方から、本の中身をデザインした

啓発本はありそうでなかった。

 

現実が魅力的に見えてくる

現実が華やかに見えない、感じないのは

現実に対する不安や不満が一役買っているからではないか。

 

この本にはそれらの不安と向き合うための策が書かれている。

現代のお金の話はもちろんのこと、社会に対する個人の立ち位置と、

時代に適応した考え方も記してある。

読む前にあった不安も、読後にはチャンスに感じられ、

現実にもエンタメフィクションのようなドキドキを感じれるはず。

 

行動したくなる一冊です。

手に取るきっかけになれば幸いです。

 

ではでは〜

 

自分がどう見られるかは相手次第。それを肯定したくなる『パーク・ライフ』

こんにちは、まねです。

今日は吉田修一さんの芥川賞受賞作パーク・ライフを紹介します。

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『怒り』や『悪人』など、映画化されるのも多い、吉田修一さんの作品。

個人的には小説の映画化、ドラマ化は大賛成です(^ ^)

 

エンタメとか純文学とか「文章でしか表現し得ないもの」とか

「想像してたのと違う」とか、僕はあんまり関係ないかなって思ってて。

 

単純に、「小説とは違う視点で楽しめる!」って思うとワクワクします笑

そしてそれが文章で表現された「小説」の価値を左右することは、

僕の場合はないです。

 

小説は小説で面白い!映画は映画で面白い!って感じですね。欲張りですね笑

 

それで小説の世界(つまり想像の世界)が映画(視覚の映像)に喰われたなら、

しょせん、僕の想像力が及ばなかっただけの話だしね( ^∀^)

 

話がそれましたが、今回も作品の持つ雰囲気に着目して紹介していきます。

 

他者の視線。群像に属する危機感と安心感

 

主人公の青年は日比谷公園を舞台に、幾人と出会う。

それは定期的に会うようになる人から、

ただ一度、声をかけられただけという人まで、様々。

主人公はそれらの人々と、日々、何気なく接していく。

 

舞台が日比谷公園ということもあって、

広くひらけたシーンが多く、穏やかな心地で読めるのではないかと思う。

ベンチに座ってコーヒーを飲むシーンなんかは、清々しさも感じる。

全体を通して、実に落ち着いて読める作品。

 

そのため、そんな少し緩んだ雰囲気をのままだと、刺激に鈍くなるので注意。

ふとした時に主人公はこんなことを言われる。

「……ねぇ、そのひかるって子、ほんとにいるの?」(本文71P)

 様々な人が行き交う公園の中で、主人公は、自分の考えもしなかった

解釈、もしくは、なんでそんな風に見られてたの? と勘ぐってしまうような

誤解を、度々される。

 

この作品の特徴の一つは、

「この人は何を考えてこんなこと言ったんだろう」

読者に想像させる、誘導の巧みさ。

 

そして、それは他者の視線。自分の意識の届かないところからくる

解釈のされ方。

日々の生活の中で、常に僕たちは、そんな環境に身を置いていることを

再認識させられる。

 

しかし、群像に属するとは、そうゆうことである。

主人公も、僕たち読者も、大抵は自分の思った通りにしか他者を見ることが

できないから。

 

そう思うと、前より少しだけ、他人の目に晒される環境に、

堂々といられるし、肯定していられる。

それは誰もがフェアだから。

自分だけ怖がってても仕方がないこと。

人に好き勝手見られないために、自分は目をつむって生活なんかできない。 

 

余談だけど、読後にもう一度、表紙を見てみると、面白い。

「ん??」ってならない?笑

僕はなりましたw

その時に描いた、疑問とか推測はどれもがあっていて、みんなが描く

この妄想力は、実に文学的だなって思う。

でもこのブックカバーって文章ではなくて、いわば小説の映画化ならぬ

小説のイラスト化だよね^ ^ 

僕はよく「小説のジャケ買い」するけど、文章の表現の外も、小説を

楽しんでる証拠だと自信を持っている。

 

興味を持っていただけたら幸いです。

 

ではでは〜

 

さらりとした文体が、死に向かう「生」を浮き彫りにする。『夏の流れ』

今回は丸山健二さんの芥川賞受賞作、『夏の流れ』を紹介します。

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丸山健二さんはその後、様々な手法を用いて実験的小説を書いています。

登場人物をとある俳優に指定したり、

千日の日記を千種の視点から描いたり、

僕たちが物語に入り込む準備をまだ整えていない段階から、いきなり仕掛けてきます。面白いですね。

この「夏の流れ」は初期の作品です。

芥川賞受賞時、若干23歳。おふ、若っww

綿矢りささん(受賞時19歳)に破られる前は丸山さんが最年少記録です。

 

今回も作品に漂う雰囲気に着目して紹介したいと思います。

 

テンポが崩れずに、淡々と、簡潔に綴られる。死刑囚と刑務官の日々。 

 刑務官として働いている主人公は、毎日のように刑務所に出勤し、

死刑囚達を見張ります。

時に、死刑を前にした囚人と争うようなこともある。

どうしたって死のはびこる場所。

生にしがみつく醜さ。

 

そんな職場から帰れば、主人公を家庭が出迎える。

元気な子供達、

気を使ってくれるたくましい妻、

そして、生まれてくる、新しい家族。

 

 

オフの方は生まれるのね( ^ω^ )

 

そんな、刑務所の非日常と、平穏な日常の対比。

いわば生と死の対比。

 

 

けれどもすごい。

この作品の不思議なところは、こんなにも、主人公の感情が

揺さぶられそうな舞台であるにもかかわらず、

おかしいなと思うほど清洌な読書感が味わえるところ。

 

その理由の一つは紛れもなく、硬質で簡潔な文体。

自らその立場にあったなら、どうかなってしまいそうな状況を

さらり、さらりと、書き綴る。

不要なえぐい表現は削がれて、それでいてリアル。

そのなんとも言えないあっさりさというか、あっけなさみたいな感じが

不思議と心地いい。

 

おかげでなのか、僕たち読者は、

一つひとつの生の大きさを、主人公の感情を通して理解しつつも

生と死の、全体の流れとして

物語を、なにか俯瞰的に、楽しむことができる。

 

それが一人称の作品でもです。

 

個人的には避暑地とかで読むと清々しくてなかなか良さそうw

秋の涼しい時期も良さそうですね。 

 

『夏の流れ』の雰囲気について書きました。

本を手に取るきっかけになってくれたら幸いです。

 

ではでは〜

 

嗅覚を刺激する生々しさ『共喰い』

今回は、田中慎弥さんの芥川賞受賞作『共喰い』を紹介します。

 

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田中慎弥さんといえば芥川賞の受賞式での独特な会見で、

注目を集めましたね。結構あの会見の雰囲気、

みんなが覚えてるんじゃないかな。僕も田中さんといえばまず、

あのときの表情を思い出します。仕方ないよね、大体の人の第一印象だもん。

会見内容の話をすると本題に入る前に盛り上がっちゃうんで省略〜

 

僕の大好きな作品なので、その雰囲気に着目して紹介したいと思います。

 

 

「人の生」を書くうえで、書かざるを得ない「感覚」

この共食いは川辺の田舎町を舞台に、父と息子の争えない血筋関係を描いた

作品なのですが、読んでいて嫌が応にも読者が感じてしまうのが、

作品全体にこもっている独特な生臭さ。

 

川辺の田舎と聞けば、

水車の回る小川とか、

田園と山ひだの景色とか、

あるいは夜になれば満点の星空なんかも想像できそうなもんですけど、

残念ながら、この共喰いの舞台は、そんなに理想的な田舎の景色はしていません。。

 

その田舎町には、生きるためにどうしても出てきてしまう、

なんというか、排泄的な景色が漂っています。

 

川には様々なゴミが流れています。傘。バケツ。自転車。

近く家の便器は川につながっています。。

主人公はその川でうなぎを釣ろうとします。。。

 

汗にまみれた人々の営み、泥だらけの道に降る豪雨。

 

…うわぁ。。( ゚д゚)

 

人が生活するうえで、背けたり、隠したりしたくなるような、生々しい部分、けれど本当はそこも含めて人間であるはず。

本来なら影になってる部分が表となって作品全体を染めてます。

読んでると、その臭いと音が、ジュワジュワにじみ出てきます。

 

そして、そんな景色の中にこそ、美しい部分がどこかに隠されていたりする。

 

あらすじは書けませんが、結構ディープです。

物語に入るきっかけになったら幸いです。

 

ではでは〜

読書の秋ですね

だんだん冷え込んできまして、

秋の薄寂しさが今年もやってきました。。

こうゆう季節の変化、それと雰囲気に、ものすごく影響を受ける僕です笑

無駄に落ちます笑 

 

さてさて、

ノーベル文学賞」と、「読書の秋」が一緒になってやってくる

今の時期、日本の読書家人口は一年で一番高いんじゃないかな。

 

カズオイシグロさん本当におめでとうございます〜

 

僕は読書スピードはそんなに速くないのですが(むしろ遅い方だと思う)

それでも月に10冊くらいは、おそらく読んでると思います。

ジャンルは小説が一番読んでいて、エッセイ、自己啓発、などなど

なんでも読んでいます。

 

年中小説は読んでいるので、今後はその時期にあったテーマや、

全く意味のわからんテーマで本を紹介していけたらいいなと思っています!

 

例えば、、

・『読書の秋』に読みたいメランコリックな小説3選!

・「まじか!?」どんでん返し半端ない叙述トリック3選!

・「読書疲れるんで」ポケーっとページめくってるだけでも楽しめる3選!

・涙なしには読めない小説3選!

・これが文学か、、僕には難しすぎてちょっと、、10選!

・作者、前出すぎやろ、話に集中できんわ3選!

・同属にささぐ。ひねくれ小説50選!

 

などなどやっていきたいです。

よろしくお願いします〜

 

ではまた〜