『ハツカネズミと人間』友情が生んだ悲劇、だけどあったかい。
こんにちは、まねです٩( ᐛ )و
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『ハツカネズミと人間』ジョン・スタインベック 大浦暁生 訳
何度か映画化された作品なので、知っている方は多いのではと思います。
スタインベックはアメリカの小説家で、
その作品は、彼の生まれ育ったカリフォルニアの自然と歴史に深く結びついています。
1962年、ノーベル文学賞受賞、代表作に『怒りの葡萄』『赤い子馬』など
あらすじ
「小さな家と農場を持ち、
ウサギを飼って静かに暮らすー」
二人の労働者はそんなささやかな夢を求めて、
カリフォルニアの農場を転々としていた。
賢くて小柄のジョージと、優しい大男のレニー。
性格も体格も違う二人は、お互いに頼り合いながら、
夢を叶えるため、とある農場で日雇い労働を始める。
様々な人に出会いながら、二人は友情を試され、過酷な現実に向き合ってゆく。
豊かな自然描写。
物語の始まりから、自然の風景が綿密に描かれている。
小川と草花と土木、そしてネズミなどの小動物。
これはやはりスタインベックの故郷がカリフォルニアだったことと関係している。
そしてその後に出てくる登場人物が、しっかりとした立体感を持っているのは
この風景の土台が事前にしっかり描かれているため。
つまり、めっちゃ想像しやすい小説♪( ´θ`)ノこれ大事。
ああ、こういう人なのね〜。
ここを歩いてるのね〜。
っていうのが、頭の中でボケない。モザイクみたいににならない。
登場人物と舞台の輪郭が、しっかりしてる印象ですね。
やはり作者自身が知った土地と文化っていうのが、
文章にも説得力を持たせるのでしょう。
小説に「作家志望と人」とか、「売れない小説家」とかいう人物が多いのは、
それが一番、作者がリアルに描けるという理由からでしょうね。
ぶれない友情が生んだ、悲劇と温かい読後感。
主人公の一人、レミーは、ポケットの中でハツカネズミを撫でていたが、
レミーの力が強いためにネズミはすぐに死んでしまう。それにレミーはひどく怯える。
賢いジョージは鈍臭いレミーを罵るが、本当の友人はレミーしかいないというのも
わかっている。自分になつくレミーにジョージもまた救われていた。
自分の気持ちと力をうまく表現できないレミーは、
自分の強靭な腕力で様々なものを傷つけてしまう。
それが原因となり、ジョージとレミーは悲劇的な結末を迎えることとなる。
たくましい二人の、ぶれない友情が
楽園への夢を、悲惨で過酷な結末へと変えてしまう。
優しさとか思いやりが、自分の思い通りに運べない時の歯がゆさ、
もっと言えば不器用さみたいなものが色濃く出ている作品です。
物語の、最後の行の一文、
ある事実に
「どうしても感情が動いてしまう人」と、
「感じようともしない人」との
決して分かり合えない二極化された人間の属性を感じます。
しかしそこには、人の持つ確かな温かさがあります。
非常にリアリティのある温かさが。
最後まで読んでいただきありがとうございました٩( ᐛ )و